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点字ブロックものがたり

【第8回】 「成人式」を迎えた点字ブロック

JIS化の実現

21世紀を迎える頃、点字ブロックの機能、品質が原点から問われるようになりました。安全交通試験研究センターが標準化への道を模索してきた結果、2001(平成13)年、“日本工業規格(JIS)化”が実現。それは、点字ブロックが世に認められたあかしです。

工業製品の「標準化」とは、そもそもどういうことでしょうか。
日本工業標準調査会によれば、標準化とは、「自由に放置すれば、多様化、複雑化、無秩序化する事柄を少数化、単純化、秩序化すること」と定義されています。日本では、国の定める工業標準として、日本工業規格(JIS)が制定されています。
点字ブロックの場合、財団が普及を進める一方で、怪しげな類似品も出回るようにもなりました。突起物を千鳥に配列したり、健常者向けに開発されたものを流用してみたり…、利益追求のためならば、なりふりかまわずの業者も現れ、混乱を招くばかりです。
英行は、本物と類似品を比べ、次のように書いています。

精一によって考案された点字ブロックの上に乗っかると、足ははずみ、腰から下は水を得た魚のように軽くなり、鼻歌のひとつでも歌いたくなってくる。しかし、千鳥様のものの上に乗っかると、体が左右にゆれるので、あわてて、それを避けるのである。

(岩橋英行著『白浪に向いて 三宅精一氏を語る』より)
類似品を一掃し、本物を世の中に根づかせるためにJIS化が必須であるということは、おわかりですね。点字ブロックそのものの機能、品質が改めて問われ、JIS化という信頼が求められるようになったのは、「福祉の時代」の趨勢(すうせい)でもあります。

精一の逝去から20年近い歳月を経た2001(平成13)年2月8日、日本規格協会のホームページに「視覚障害者誘導用ブロック等の突起の形状・寸法及びその配列」のJIS(案)が公開。さらに、同年3月22日、「視覚障害者誘導用ブロックJIS原案作成委員会・第3回委員会」が開催され、JIS案は最終決定に至りました。この原案は、日本工業規格として同年9月20日、経産大臣によって制定され、同日、官報公示されました。

安全交通試験研究センター・二代目理事長として、JIS化への道を拓いてきた三郎は、この快挙をわが子の成長になぞらえて、このように振り返っています。

21世紀を迎えたいま、点字ブロックがJIS化に至ったことは実に感慨深いものがある。それは手塩にかけたわが子がようやく一人前になって世に認められ、30年余にして“成人式”を迎えるような思いである。

 
安全交通試験研究センター・ホームページより)

2016/11/29